この二つの境界を不可逆的に壊す決定的な出来事が90年代半ばに起きた。庵野秀明監督によるアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の社会的現象化である。
ロボットアニメという典型的なオタク的ジャンルでありながら、哲学、精神分析、キリスト教的モチーフを重厚に織り交ぜた同作は、批評家や文化人をも巻き込んだ。出版業界もこの熱狂に飛びつき、カルチャー誌が連日のように特集記事を組む事態に発展する。ここに、オタク的なモチーフとサブカル的な批評性が融合。それまで冷淡な目で見られていたオタクコンテンツが、知的鑑賞に耐える洗練された表現として再定義された。