インターネット上の健康情報サイトでは長年、「サバを食べるなら塩焼き一択、味噌煮は太るから絶対に避けるべき」という極論が定説のように語られてきました。しかし、この言説には重大な盲点が存在します。
確かに純粋な糖質量だけを比較すれば、塩焼きの糖質0.2gに対し、味噌煮は10g前後と大きな開きがあります。ケトジェニックダイエット(厳格な糖質制限)を実践している局面であれば、塩焼きを選択するのが合理的です。しかし、日常的な緩やかな糖質コントロール(ロカボ)や脂質制限を志向する場合、発酵食品である「味噌」がもたらす腸内環境への恩恵を無視することはできません。
大豆を発酵させて作られる味噌には、植物性乳酸菌、大豆イソフラボン、ペプチド、食物繊維が含まれています。近年の腸内細菌叢(マイクロバイオーム)解析では、発酵調味料の摂取が短鎖脂肪酸の産生を促し、インスリン抵抗性の改善や腸管バリア機能の強化に寄与することが実証されています。単なる「糖質10gの悪影響」と「発酵食品がもたらす代謝賦活作用」を天秤にかけた時、味噌煮を一概に排除する姿勢は栄養学的な機会損失を招いていると言わざるを得ません。