本作における最大の論争の的であり、ファンのトラウマとなったのが、主人公・緋村剣心の最期とヒロイン・神谷薫の過酷な境遇です。
作中における緋村剣心の直接的な死因は、正体不明の「不治の病」です。剣心は明治政府からの要請を受け、日清戦争下の大陸へ赴きますが、現地で病に倒れ、記憶をも失って日本へ漂着します。肉体はボロボロに痩せ細り、飛天御剣流の神速の面影はどこにもありませんでした。
さらに物議を醸したのが、妻である薫の描写です。薫は、苦しみ続ける剣心の痛みを自分も分かち合いたいという一心から、自ら進んで剣心の体を抱き、同じ病に感染することを選びます。この病気による自己犠牲と情愛の表現は、一部の視聴者から「あまりにも重すぎる」「自己破滅的で受け入れがたい」と強い拒絶反応を招きました。
物語を締めくくるラストシーンでは、記憶を失いながらも東京の神谷道場へと辿り着いた剣心を、同じく病に冒されて余命いくばくもない薫が満開の桜の下で出迎えます。薫の膝枕の上で静かに息を引き取る剣心。その瞬間、長年彼を縛り続けてきた左頬の「十字傷」が静かに消え去り、薫が涙を流しながら「心太(しんた)」と本名を呼んで幕を閉じます。この結末を「究極の純愛と贖罪の完了」と捉えるか、「報われない悲劇の押し付け」と捉えるかで、作品の評価は真っ二つに割れています。