ビジネスシーンにおける「濡れ手に粟」の扱いは、言葉の語感を誤認したことによる重大な失言トラブルが後を絶ちません。文化庁が実施する「国語に関する世論調査」等の各種データやビジネスマナー研修の現場報告を見ても、慣用句の語源的ニュアンスを理解しないまま口にするケースが頻発しています。
最も深刻な失着は、取引先や同僚の新規事業の成功に対して「今回の案件はまさに濡れ手に粟でしたね!」と声をかけてしまうパターンです。発言者は「大成功して大儲けですね」「素晴らしい成果ですね」と褒めたつもりでも、言葉を受け取った側には「あなたは汗も流さず、ずる賢くあぶく銭を手に入れた」と受け取られます。結果として、相手のプロフェッショナリズムや払った努力を根底から侮辱することになります。
SNSや知恵袋などのコミュニティを分析すると、「副業やネット投資で濡れ手に粟を狙った結果、詐欺商材に引っかかった」という相談が日常的に投稿されています。「濡れ手に粟」という言葉自体が、人間の「手軽に得をしたい」という射幸心を刺激する危険な甘言と表裏一体である実態が浮き彫りになっています。