福島県福島市で生まれ育った大波三兄弟の幼少期は、まさに相撲とともにありました。引退後に福島市内で「ちゃんこ若葉山」を営む父・大波政司氏の背中を見つめ、自宅に作られた稽古場で幼少時から廻しを締めていたといいます。しかし、父は決して息子たちに相撲を強制することはなく、礼節と基本の徹底のみを教え込みました。
兄弟3人は地元のアマチュア相撲の名門・学法福島高校へ揃って進学します。ここで基礎体力を徹底的に叩き込まれた長男と次男は、高校卒業後すぐに大相撲の世界へ飛び込む道義を選びました。一方で、当時から身体が小さかった三男の渥(若隆景)は、体躯のハンディを克服すべく東洋大学へと進学します。
東洋大学相撲部で若隆景は主将を務め、学生横綱クラスの実力者たちと鎬を削りながら、理論に基づいた筋力トレーニングと無駄のない下半身主導の取り口を確立しました。2017年春場所、三段目最下位格付出で初土俵を踏んだ若隆景は、兄たちが築いてきた荒汐部屋の土台に、大学相撲の洗練されたフィジカルサイエンスを持ち帰る形となったのです。