インターネット上の掲示板やSNSでは、「良性と言われたから放っておいて大丈夫」「自然に血が止まったから病院通いをやめた」という書き込みが散見されます。しかし、乳頭腫における「自己判断による放置」には重大な盲点が潜んでいます。
第一の盲点は、血性分泌の一時的な停止が「治癒」を意味しないという点です。腫瘍からの一時的な出血が止まったり、出血した血液が乳管内に滞留して出口が塞がったりすると、表面上の分泌は消失します。しかし、乳管内の病変そのものが消滅したわけではありません。もしその病変の奥に初期の非浸潤性乳管癌が潜んでいた場合、通院を中断して数年間放置することで、浸潤がんへと進行して初めてしこりとして自覚されるという最悪のシナリオを招きかねません。
第二の盲点は、外科手術を行った後であっても生じる「再発の理由」です。手術で主病変を確実に切除したにもかかわらず、数年後に再び血性分泌が起きたり別のしこりが指摘されたりすることがあります。これは切除の失敗や取り残しではなく、乳腺の別の乳管系に新たな乳頭腫が発生したこと(末梢性多発乳頭腫の性質)に起因する場合が大半です。乳腺組織全体が乳頭腫を発生させやすい素因を持っているケースでは、1回の切除ですべてのトラブルが永久に解決するわけではないという構造的理解が必要です。