ロゼッタというキャラクターの根幹を理解する上で避けて通れないのが、ディレクターの小泉歓晃氏が自ら執筆したとされる作中の絵本イベントです。普段の明るいマリオシリーズとは一線を画す、どこか哀愁漂う文学的なトーンで語られる彼女の過去は、多くのプレイヤーに強烈な印象を残しました。
ストーリーでは、迷子の星の子「チコ」と出会った少女(ロゼッタ)が、チコのママを探すために宇宙船を修理し、星々を巡る旅に出ます。しかし、長い旅の果てに少女は「自分の本当のママはもう星の下で永遠に眠っている(他界している)」という残酷な真実に直面します。絶望する少女に対し、チコたちは彼女を新しい「ママ」として慕い、少女自身も星の子たちを育てる母になることを決意します。
この物語が示すのは、ロゼッタとチコの関係は「支配者と従者」ではなく、喪失を乗り越えて結ばれた疑似的な母子関係であるという点です。宇宙の命が巡り、星が生まれては消える悠久の時間を生きるロゼッタの正体は、かつて大切な家族を失い、自らが宇宙全体の「母」となった勇敢な少女の姿そのものでした。