「急な仕事で行けなくなりました」「定価でお譲りします」。X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS上で、こんな善意を装った投稿が散見される。だが、その大半が巧妙に仕組まれた偽りの誘い文句だ。
被害者の多くは、ダイレクトメッセージ(DM)でのやり取りを通じて指定されたPayPayやKyashなどの個人間送金アプリで代金を先払いさせられる。送金が完了した瞬間、相手のアカウントはブロックされ、連絡手段は完全に断たれる。「公式チケットのスクリーンショットを見せられたので信用してしまった」と語る20代女性被害者の声は切実だ。しかし、その画像自体が他人の投稿からの無断転載か、画像編集ソフトで偽造された代物だった。
犯罪グループは複数の偽アカウントを組織的に連動させ、相互に「無事に取引できました!」と自作自演の感謝コメントを投稿することで、第三者からの信頼を偽装するテクニックまで駆使している。一度送金してしまった電子マネーを取り戻すのは、現在の法制度下では極めて難易度が高い。