ヨーロッパと一口に言っても、入浴やサウナに関する規範は国や地域によって明確に分かれている。南欧のラテン系諸国では公共の場での全裸混浴に対する禁忌感が根強い一方、北欧や中欧では全裸が標準とされるケースが多い。以下の比較表は、主要国におけるサウナ・温浴文化の構造的違いをまとめたものだ。
なかでも世界的に名高いのが、ドイツ南西部に位置する歴史ある温泉保養地バーデンバーデン温泉施設だ。19世紀のローマ・アイルランド様式を色濃く残す「フリードリヒスバート(Friedrichsbad)」では、曜日や時間帯によって完全全裸の男女混浴システムが採用されている。重厚な大理石のクーポラ(円形天井)の下、老若男女が全裸で温冷浴を繰り返す光景は、エロティシズムとは無縁の「生きた文化遺産」としての荘厳さを醸し出している。