2014年に放送され、多くの視聴者に深い爪痕を残したフジテレビ系ドラマ『僕のいた時間』。難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に立ち向かう主人公の生き様を描いたこの作品において、主題歌として書き下ろされた『春風』は、物語の感情線を補完するにとどまらない不可分の存在であった。
歌詞の中に登場する「風」は、形のない時の流れや、目に見えない絆そのものを象徴している。命の限りに直面しながらも「今」を懸命に生きようとする主人公たちの葛藤。言葉にならない吐息のような感情が、サビに向かって一気に開花するメロディラインと重なり合い、胸を締め付ける。ただ悲しいのではない。失う恐怖と背中合わせの「生への愛着」が、一行一行の言葉に力強く刻み込まれているのだ。