緑のカーテンが放つクラシカルな情緒とは裏腹に、グラウンドレベルで戦う外野手にとって、リグレー・フィールドのフェンスはメジャーリーグ球場の中で最も恐怖を感じる障壁の一つです。現代のベースボールスタジアムの標準仕様と、リグレー・フィールドの数値を比較すると、その特異性と守備側のリスクが浮き彫りになります。
近年のMLBスタジアムでは、選手の安全面を最優先して設計された分厚い防護パッドの導入が義務化されています。しかし、リグレー・フィールドはアメリカ合衆国国家歴史登録財および国定歴史建造物に指定されており、伝統的な赤レンガの壁を撤去したり、近代的なラバーパッドで完全に覆い尽くすことは文化保護の観点から認められていません。
そのため、ツタの柔らかい外観に錯覚して全力疾走で突っ込んだビジター球団の外野手が、頑丈なレンガ壁に肩や肋骨を強打して負傷退場する事故が歴史上何度も起きています。リグレーでプレーする外野手は、ウォーニングゾーン(砂利部分)の足裏の感触からレンガまでの正確な距離感を肌で測り、激突直前で身体を捻って衝撃を逃す高度な空間把握能力が不可欠となっているのです。