かつて日本国内専用モデルとして販売された日産フィガロが、なぜ今これほどまでに世界中を熱狂させているのでしょうか。その背景には、英国での草の根的なカルチャー形成と、北米の輸入規制緩和という2つの大きな波が存在します。
第一の火付け役となったのはイギリスです。日本と同じ左側通行・右ハンドル文化を持つ英国では、1990年代後半から並行輸入が活発化しました。ロンドンの歴史ある街並みに見事に溶け込むエレガントなルックスが文化人やセレブリティの心を捉え、ギタリストのエリック・クラプトンをはじめとする著名人が所有したことでステータスが確立された経緯があります。現地には大規模なオーナーズクラブが存在し、英国での確固たる人気が欧州全体へと波及していきました。
さらに決定打となったのが、アメリカにおける通称「25年ルール(製造から25年を経過した車両は安全基準等の適用が免除される制度)」の適用です。2016年以降、北米市場への合法的な輸入が解禁されたことで、現地のJDM(日本市場専用車)コレクターによる買い付けが本格化しました。日本国内に現存する良質な個体が次々と海外へ流出した結果、国内外での需給バランスが完全に逆転し、日産フィガロの現在の価値を一段高いステージへと押し上げる決定的な要因となっています。