日本シリーズを観戦する上で、多くのファンが混乱しやすいのがプロ野球延長戦レギュラーシーズンとの違いだ。ペナントレースでは移動や連戦を考慮した規定が組まれているが、日本一を決める短期決戦では勝利の重みが全く異なるため、独自の運用が施されている。
特に近年、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やオリンピックなどの国際大会、さらには高校野球などで無死二塁から攻撃を始めるタイブレークが広く浸透した。そのため「日本シリーズでもタイブレークが行われるのか」という疑問を持つファンが増加している。だが、NPB公式の取り決めにおいて、日本シリーズタイブレーク規定は一切採用されていない。走者を背負わない純粋なイニング勝負が最後まで貫かれるのが伝統的なスタンスだ。
また、戦術面に絶大な影響を与えるのが日本シリーズDH制ルールだ。日本シリーズでは、偶数年・奇数年で主管順序が入れ替わるが、基本的に「パ・リーグ球団の本拠地ではDH制を採用し、セ・リーグ球団の本拠地ではDH制を採用しない(投手が打席に入る)」という厳格な原則がある。ベンチの代打枠の残し方や、リリーフ陣の投入タイミングは、このDH制の有無と延長イニング制限が絡み合うことで、ペナントレース以上の緻密な読み合いへと昇華する。