かつて根室の経済を強力に支えたのは、水揚げされる無数のサンマとカニ、そして北方四島周辺での安定した漁業だった。だが2026年現在、従来のビジネスモデルは完全な再構築を迫られている。安全操業協定の運用停滞や安全確保の難しさから、操業区域の限定が続く。
「昔のように『獲れば獲るほど儲かる』時代は過去の話。これからは1匹の魚をいかに無駄なく、高く売るかだ」。港で加工会社を営む40代の経営者は語る。現在、地元企業が集まり、急速冷凍技術や酵素処理を用いた高価値加工品の開発が急速に進む。ハナサキガニの未利用部位から抽出するバイオ素材や、極上サンマの缶詰を海外の富裕層向けに直販するルート開拓など、「量」から「質」への転換が本格化している。