全国約1,500か所以上に設置された観測局による大気質モニタリング網は、日本全土の空を24時間体制で監視し続けています。環境省が公表した最新の環境白書および大気汚染物質測定結果によれば、一般環境大気測定局におけるPM2.5の環境基準達成率は98%を超える高水準を維持しており、数値の上では「日本の空はかつてないほど清浄」に見えます。
しかし、現場の測定データを精査すると、地域間格差と季節変動という見過ごせない事実が浮かび上がります。特に九州や中国・四国地方などの西日本エリアでは、早春から初夏にかけて偏西風に乗って飛来する微小粒子状物質(PM2.5)と黄砂が複合化し、一時的にPM2.5測定値が国の注意喚起レベル(日平均70μg/m³)に迫る事例が報告されています。
大気中に漂う大気汚染物質は、工場排煙や自動車排ガスなどの国内発生源に由来するものだけではありません。東アジア地域の産業活動に伴う二次生成粒子が海を越えて流入するため、国内排出ガス規制の強化だけではコントロールできない構造的な課題を抱えているのが現状です。