日本最古の寺院を巡る議論が複雑化する理由は、寺院の「性格」と「現存する建物の古さ」が混同されやすいためです。結論から整理すると、以下の3つの基準で整理するのが歴史学的に最も正確な捉え方となります。
まず、日本最古の本格的寺院(本格的な伽藍を備えた寺)は、奈良県明日香村にある飛鳥寺(法興寺)です。百済から招いた寺工や瓦博士らの指導のもと、推古天皇4年(596年)に完成しました。
次に、日本最初の官寺(国が建てた公立寺院)とされるのが、大阪市天王寺区にある四天王寺です。聖徳太子(厩戸皇子)が物部氏との戦いに際し、戦勝祈願として推古天皇元年(593年)に建立を開始したと伝えられています。
そして、現存する世界最古の木造建築物を誇るのが、奈良県斑鳩町の法隆寺(斑鳩寺)です。推古天皇15年(607年)頃の創建とされますが、一度焼失した後に7世紀後半から8世紀初頭にかけて再建された西院伽藍(金堂・五重塔など)が、1300年以上の時を超えて現存しています。