観客を最も沸かせた場面の一つが、小学生団体戦の決勝トーナメントだった。互いに一歩も引かない互角の攻防が続き、勝負の行方は大将戦に委ねられた。残り時間わずか数秒、緊張が極限に達した瞬間、勝利を引き寄せたのは一瞬の隙を見逃さない鮮烈な飛び込み面だった。
相手の手元がわずかに上がったそのコンマ数秒の好機。身体が勝手に反応したかのような鋭い踏み込みと、迷いのない竹刀の軌道が相手の面布団を捉えた。試合後の取材に応じた勝者は、「相手の呼吸を感じて、ここしかないと思って跳んだ」と冷静に振り返る。日々の厳しい稽古で培われた直感と徹底した反復練習こそが、この土壇場での決定打を生み出した真相だ。