日本列島の形状における最大の謎は、「なぜ中央部を頂点として太平洋側に弓なり(円弧状)に曲がっているのか」という点です。かつて大陸の直線的な海岸線の一部だった大地が、現在のカーブを描くに至った決定的な要因こそが「日本海形成」と「大陸分裂」のプロセスにあります。
地質学者らの詳細な岩石残留磁気の測定(古地磁気解析)によって実証された定説が、いわゆる「二重扉の観音開きモデル」です。約2000万年前から1500万年前にかけて、大陸の背後で大規模なマグマの上昇(バックアーク・リフティング)が発生し、地殻が東西に強く引っ張られて大規模な裂け目ができました。この時、日本列島は一枚の板として平行移動したのではなく、中央部を境にして真っ二つに分かれて回転しながら大陸から離れていきました。
- 東北日本地塊:大陸から離れながら、反時計回りに約40度〜50度回転して南東方向へ移動。
- 西南日本地塊:大陸から離れながら、時計回りに約40度〜50度回転して南東方向へ移動。
観音開きの扉が外側へパッと開くように、北と南のブロックがそれぞれ逆方向に旋回しながら押し出された結果、両者が折れ曲がる形で合流する接合部(現在の中部地方周辺)を中心として、外側に湾曲したダイナミックな「弓なり形状」が誕生したのです。わずか数百〜数千万年という地質学的には一瞬ともいえるスピードで大地が引き裂かれ、広がった窪地に海水が流れ込んだことで、現在の日本海が誕生しました。