「日本近海のプレート境界で何らかの異常が起きているのではないか」という懸念がネット上で囁かれることがありますが、地質学的な観点から見れば、現在の活動は数千年〜数万年スケールのプレート運動における「定常的な活動期の一環」です。太平洋プレートの沈み込み速度は年間約8〜10センチメートルで安定しており、急激にマグマ生成量が跳ね上がったわけではありません。
近年、活動が激増しているように感じられる背景には、観測技術の飛躍的進化があります。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち」シリーズによる合成開口レーダー(SAR)解析、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の無人探査機(ASV/ROV)による海底地形調査、さらには気象衛星ひまわりの高頻度観測により、従来は見過ごされていた深海での微小な変色水や地殻のミリ単位の隆起までがリアルタイムで可視化されるようになったのです。