巨体がぶつかり合う鈍い音と、セコ(勢子)たちの咆哮が闘牛場に響き渡る。承久の乱で隠岐に配流となった後鳥羽上皇をお慰めするために始まったとされる「隠岐の牛突き」は、800年以上の歴史を誇る島一番の伝統行事だ。
かつては後継者不足が懸念されていたこの伝統も、近年は大きな転換期を迎えている。島外から移住してきた若者や地元高校生たちが角突きの文化に魅せられ、飼育や運営の担い手として続々と名乗りを上げているのだ。伝統を単なる観光展示にするのではなく、地域の絆を繋ぐ生活文化として愛し続ける住民たちの情熱が、800年目の熱気を今に伝えている。