2026年4月1日、同社は創業50周年の節目に「ニデック株式会社」へと商号を変更しました。この大きな決断の裏には、世界統一ブランドの確立と同時に、過去の重厚長大・京都ローカルな企業イメージを刷新し、グローバル巨大テクノロジー企業としての地位を固める狙いがありました。
しかし社名変更と前後して、同社は創業以来最大級の経営試練に直面します。ニデックの業績理由を解剖すると、最大の誤算は「EV特需の読み違え」にありました。中国市場を中心に急拡大したEV市場に対し、同社は巨額の設備投資を実行して基幹部品「E-Axle」を量産しました。ところが、中国地場メーカーの内製化の進展と過激な値下げ競争により、採算が急速に悪化。受注を追えば追うほど利益が削られる泥沼の価格戦へと追い込まれました。
この業績悪化を受けて会長兼CEOに復帰した日本電産の永守重信氏は、即座に「不採算案件の選別受注」へと舵を切り、巨額の引当金処理を断行しました。この一連の混乱が市場の失望を買い、ピーク時に1万5000円近くまで買われていた株価が半分以下にまで売り込まれるという、歴史的な株価急落劇を招くことになったのです。
さらに市場を不安視させたのは、社名が変わってもなお払拭できない「創業者への絶対的権力集中」でした。次世代経営陣への権限委譲を掲げながらも、危機のたびに創業者が全権を掌握し直すサイクルは、組織の自立的な成長を阻害する「創業者トラップ」そのものとして投資家から厳しく警戒されています。