鈴木陽介のキャリアを語る上で欠かせないもう一つの軸が、飲食店経営者としての顔だ。2012年、料理研究家の按田優子(あんだ ゆうこ)氏と共に東京・代々木上原にオープンした「按田餃子」は、連日行列の絶えない人気店として知られている。
「助の餃子」をはじめとする独創的なハトムギ生地の水餃子や、オリエンタルなスパイスが香るメニュー群。この店の空間づくりやブランディングの根底には、鈴木の写真美学が色濃く反映されている。
生活と写真の一体化
写真を撮ることと、食を提供することは、彼にとって別個の作業ではない。どちらも「生きることのリアル」に触れる行為だ。店舗の空気感、スタッフの佇まい、器に盛られた料理の佇まい。自身がプロデュースに携わる空間そのものが、鈴木陽介というアーティストの「立体的な写真作品」と言えるだろう。