茨城県那珂市出身の上野耕平は、吹奏楽の名門校を経て東京藝術大学音楽学部器楽科へと進学した。学生時代からその才能は突出しており、第28回日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門で史上最年少の第1位および特別大賞を受賞。さらに2014年、世界最高峰とされる第6回アドルフ・サックス国際コンクールにおいて第2位に輝き、一躍世界中から注目を浴びることとなった。
若くしてクラシック音楽業界の寵児となった彼には、常に華やかな噂がつきまとった。音大生時代から群を抜いて目立つ存在であり、多くの女性演奏家と切磋琢磨してきた経緯がある。しかし、浮き彫りになるのは奔放な女性遍歴ではなく、サックスという楽器のポテンシャルを極限まで高めることに没頭していた求道者としての姿だ。
学生時代の同期や関係者の話を総合しても、彼が何よりも優先していたのは日々の過酷な練習とアンサンブルの探求だった。寝る間を惜しんでリードを削り、運指を突き詰める日々のなかで、軽薄なスキャンダルに身を投じる余白など皆無だったことがうかがえる。