1996年に「文藝春秋」で連載されるやいなや、読者の間で凄まじい賛否両論を巻き起こした原作。著者の林真理子が描き出したのは、何不自由ない生活を送りながらも「ここではないどこか」を渇望する主人公・水越麻也子のリアルな心理だった。夫からの冷遇、満たされない欲望、そして甘い誘惑への没入。その鋭い心理描写は、当時のメディアや読者を大きく揺さぶった。
単行本化されると爆発的なヒットを記録し、すぐさま各メディアが映像化権の争奪戦を展開。単なるスキャンダラスな物語にとどまらず、女性の本音と業(ごう)を解剖した文学的評価を獲得したことで、その後のテレビドラマ制作や映画界にも多大な影響を及ぼすこととなる。