「地元のスポーツ少年団の保護者会で会計を引き継ぎ、代表者変更のために窓口へ行ったら、前代表の口座を解約したうえで新規開設を拒否された」「PTAの分科会口座を作ろうとしたら、受付すらしてもらえなかった」――。SNSや相談窓口には、金融機関の強硬な対応に悲鳴を上げる市民の声が日常的に寄せられています。
任意団体の口座開設で断られる理由の根底にあるのは、警察庁や金融庁が主導する「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の徹底運用です。法的な登記が存在しない任意団体(人格なき社団)は、代表者が誰であれ、規約や名簿をいくらでも私的に偽造できてしまう脆弱性を抱えています。過去数年、暴力団関係者や特殊詐欺グループが架空のサークルや研究会を名乗り、不正送金の受け皿として任意団体名義の口座を悪用する事件が多発しました。これを受け、全国の金融機関は任意団体口座の審査基準を一気に引き上げました。
メガバンク関係者は取材に対し、匿名を条件に次のように実情を吐露しています。
「本音を言えば、任意団体の口座開設はリスクしかありません。手数料収入はほぼゼロに等しい一方、万が一その口座が詐欺や闇バイトの送金に使われれば、金融庁から重い行政処分を受けるリスクを背負います。そのため、確固たる地域実績や公的な紐付きがない団体の申請は、形式的な書類審査の段階で落とす運用が常態化しています」
多くの担当者が直面する「任意団体の口座開設における審査落ちの真相」は、書類の文字の打ち間違いといった軽微なミスではなく、「金融機関側が反社リスクや詐欺リスクを回避するための防衛措置」に他なりません。この前提を理解しないまま窓口に突撃しても、門前払いを食らう確率が跳ね上がるだけです。