ブームから星霜を経て、山形県鶴岡市・善宝寺の貝喰の池にいた人面魚の現在はどうなっているのでしょうか。
善宝寺の貝喰の池は、周囲約1kmの鬱蒼とした原生林に囲まれたすり鉢状の池です。寺院関係者や現地愛好家の証言によると、1990年当時にメディアを賑わせた白黄色や灰色の「元祖・人面魚」個体は、コイの加齢に伴う体色変化や寿命によってすでに姿を消したとみられています。コイは成長や加齢によって頭部の肉付きや皮膚のメラニン色素が変化するため、数年〜十数年単位で「顔の模様」そのものが薄れたり崩れたりすることが一般的です。
しかし、池の生態系が途絶えたわけではありません。貝喰の池には現在も多数の錦鯉や野生化したコイが生息しており、遺伝的に頭部に同様の凹凸や斑紋を持ちやすい後継の個体が定期的に生まれています。現地を訪れた参拝者のSNS投稿や目撃報告では、「黒い顔つきの2代目・3代目人面魚が悠然と泳いでいた」「光の当たり方で完全に人影に見えた」という写真や動画が今も投稿されています。
また、「人面魚は善宝寺だけの固有種なのか」という疑問がありますが、決してそうではありません。条件が揃えば全国どこでも観察可能です。現在でも以下のような場所で人面魚タイプのコイが目撃されています。
- 全国の有名寺社の神池:京都や奈良、埼玉などの歴史ある寺社境内の池(透明度が高く、参拝客のエサやりで頭部を水面に出しやすい環境)。
- 観光地の日本庭園・水族館:岐阜県や長野県の湧水池、各種淡水魚水族館の錦鯉展示コーナー。
- 錦鯉の生産地(新潟県など):養殖池の中に、偶然パレイドリアを引き起こす模様を持つ個体が多数育成されている。