煩悩が108個とされる理由には、六根の掛け算以外にも広く知られる2つの有力な説がある。
ひとつは、日常会話でも使われる「四苦八苦」の由来から派生した計算式である。仏教の根本思想である「四苦(生・老・病・死)」に、「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」「五陰盛苦」の4つを加えたものが「八苦」である。この「四苦」と「八苦」を数字に見立てて掛け合わせる語呂合わせ説が存在する。
・四苦:4 × 9 = 36
・八苦:8 × 9 = 72
・合計:36 + 72 = 108
もうひとつは、1年間の暦(時間)を表しているという説である。1年の「12か月」、季節の移り変わりを示す「二十四節気(24)」、気候の変化をさらに細分化した「七十二候(72)」を足し合わせると、正確に108になる。
・12(月)+ 24(二十四節気)+ 72(七十二候)= 108
1年という時間の経過そのものが人間の営みであり、その中で生じる心の乱れを清算するという考え方が、この暦説の根底にある。