妊娠中の下肢のむくみや冷えは耐え難い苦痛を伴う。しかし、リスクを冒してまで強い足裏指圧を受ける必要はどこにもない。安全に配慮されたセルフケアの確立こそが最善の自衛策となる。
自宅で行うケアは、ツボを強く押し込む「指圧」ではなく、手のひら全体で足首からふくらはぎ、膝裏へと優しく撫で上げる「軽擦法(リンパドレナージュ)」に留めるべきである。オイルやクリームを用い、皮膚を滑らせる程度の圧で十分な血行改善効果が得られる。また、弾性ストッキングの着用や、就寝時に足をクッションで数十センチ高く保つだけでも劇的な改善が見込める。
万が一、セルフケア中や施術後に以下のような異変を感じた場合は、一刻の猶予もなくかかりつけの産科医に連絡しなければならない。
・定期的または持続的な下腹部の張り、強い腹痛
・性器出血や水っぽい帯下(破水の疑い)
・激しい動悸、めまい、冷や汗、息苦しさ
・胎動の急激な減少や消失
夜間や休日の場合であっても自己判断で様子を見ず、産院の緊急連絡先へ即座に電話を入れる判断力が母子の命を救う。