中国による一方的な現状変更に対し、国際社会は強い懸念と対抗措置を講じています。アメリカ海軍は、過度な海洋権益主張を認めない意思を示すため、西沙諸島周辺の12海里(領海に相当する海域)内へ駆逐艦を進入させる「航行の自由作戦(FONOP)」を定期的に展開。中国側が緊急発進(スクランブル)や追尾を行って警告を発するなど、米中間の軍事衝突のリスクが日常的に存在しています。
この対立は、日本にとっても決して対岸の火事ではありません。西沙諸島の軍事拠点化が進んだ結果、中国軍は南シナ海全域における防空識別圏(ADIZ)の設定や制海権の掌握を現実的な視野に収めつつあります。万が一この海域で軍事衝突や海上封鎖が発生した場合、中東からの石油タンカーをはじめとする日本の海上輸送網は迂回を余儀なくされ、莫大な経済的損失とエネルギー危機に直面することになります。
さらに、西沙諸島で見られた「軍民融合による既成事実化の手法」は、東シナ海(尖閣諸島周辺)や台湾海峡に対する圧力とも完全に連動しており、東アジア全体の安全保障環境を揺るがす深刻な脅威となっています。