今年初頭、東証プライム上場のIT大手で起きた創業社長の電撃辞任劇は、この地殻変動を象徴する出来事だった。業績は絶好調であったにもかかわらず、株主や取締役会は「後継者育成の失敗」を理由に彼を退けた。一見すると矛盾するようだが、理由はシンプルだ。
特定の個人に依存しすぎる組織は、投資家にとって最大の「リスク」とみなされるようになったのだ。カリスマの存在がどれほど魅力的であっても、その人物が倒れた瞬間に崩壊するビジネスモデルは脆弱極まりない。属人性の排除と、属人性の最大化。この二律背反をどうコントロールするかが、現代のガバナンスにおける最大のテーマとなっている。