兵庫県を発祥とし、関西一円にまたたく間に広がったラーメン虎と龍。2000年代後半、関西の豚骨ラーメン市場は「背油チャッチャ系」やライト豚骨が主流であり、九州本場の「豚骨臭が漂う本格派」を日常的に味わえるチェーン店は極めて限られていました。そこに切り込んだのが、「博多ラーメン(あっさり白湯)」と「久留米ラーメン(こってり濃厚白湯)」という2種類のスープを看板に掲げた虎と龍の戦略でした。
深夜営業と幹線道路沿いの大型ロードサイド出店を軸にドライバー層や若者を一気につかみ、最盛期の2010年前後には兵庫・大阪・京都・奈良など関西一円で公称40店舗を超える規模にまで到達しました。しかし、その急速な出店ラッシュこそが、後の急激な衰退を招く決定的な引き金となりました。
急激な店舗激減の背景には、外食フランチャイズビジネスが直面する典型的な落とし穴が存在していました。初期の直営店では職人が炊き出していた豚骨スープの品質が、急速な多店舗展開に伴って加盟店ごとに著しいバラつきを生むようになったのです。当時を知るFC元オーナーの手記や関係者の証言によると、「本部の急速な規模拡大に対して、店長クラスの育成や品質保持の仕組みが完全に追いついていなかった」と振り返られています。