日常会話で何気なく使っている両者ですが、言葉の成り立ちを紐解くと、目指している芸術的アプローチのベクトルが根本から異なっていることがわかります。音楽学や言語学の観点から、それぞれの原義を整理してみましょう。
まず「コンサート(Concert)」の語源は、イタリア語の「concerto」やラテン語の「concertare(コンチェルターレ)」に由来します。この言葉には「競い合う」「論争する」と同時に「調和させる」「一致協力する」という二面的な意味が含まれていました。複数の楽器や歌声が互いの個性をぶつけ合いながらも、緻密なアンサンブルによってひとつの調和された世界観を構築する行為を指します。17世紀以降のヨーロッパで貴族や市民が集い、完成された楽曲を静かに鑑賞する場として定着していきました。
一方の「ライブ(Live)」は、英語の「Live Performance(生演奏・実演)」を日本国内で略した和製英語的な呼称です。語源である「Live」が意味する通り、最大の価値は「録音や修正が一切効かない、その場限りの生の熱量と身体性」にあります。1960年代以降のロックやフォークの台頭とともに、密閉された空間で演者と観客が一体となって熱狂を生み出すカルチャーから広く普及しました。
一般社団法人日本音楽事業者協会などの業界慣例や音楽関係者の証言を総合すると、日本のエンタメビジネスにおいて両者は以下のように概念規定されています。