本作の一般的な演奏時間は約60分(ノーカット完全版の場合)におよびます。全4楽章はそれぞれ強烈な個性と緻密な有機的統一感(循環主題)で結ばれており、ロシア的な憂愁と甘美な情熱が息もつかせぬスケールで展開されます。
息をのむ「第3楽章クラリネットソロ」の秘密
交響曲第2番の代名詞とも言える第3楽章アダージョは、エリック・カルメンの名曲『All by Myself』をはじめとする現代ポップスや映画音楽にも数多く引用されてきました。
第一ヴァイオリンの静かなシンコペーションの序奏に導かれ、息の長いフレーズで登場するクラリネットソロは、木管楽器特有の温かみと哀愁を帯びた音域を完璧に計算して書かれています。息継ぎ(ブレス)の位置を巧みに隠しながら滑らかに上昇・下降を繰り返す旋律線は、聴き手の心理的な緊張と弛緩を極限までコントロールし、胸を締め付けられるようなノスタルジーを喚起させます。この旋律が後半、フルオーケストラの弦楽器群による大音量で再現される瞬間は、本曲最大のクライマックスです。