志村さんの芸能人生を決定づけたのは、昭和のテレビ史に燦然と輝くお笑い番組『8時だョ!全員集合』だった。付き人下積みを経て、ザ・ドリフターズの正式メンバーに昇格した瞬間、お茶の間の空気は一変する。東村山音頭やヒゲダンスなど、生放送の独特な緊張感の中で生み出された爆笑ネタの数々は、瞬く間に全国の子供たちを虜にした。
だが、この記録的な多忙を極めたドリフターズ時代こそが、彼から一般的なプライベートの時間を奪い去った時期でもあった。毎週繰り返される厳しいネタ会議と猛稽古。本番が終われば次の企画へ頭を切り替える日々の中で、落ち着いて家庭を築く余裕など存在するはずもなかった。仕事に全情熱を注ぎ込むあまり、恋人ができてもすれ違いが生じてしまう。彼の20代から30代の青春は、コントの舞台装置と台本の中に没頭したまま過ぎ去っていった。