おっきりこみの郷土料理歴史由来を紐解くと、群馬県が誇る「粉食文化」と「養蚕業の隆盛」に直結します。群馬県は水はけの良い土壌と冬のからっ風に恵まれ、古くから全国屈指の小麦生産地として発展してきました。
明治から昭和初期にかけて、上州の女性たちは製糸工場や家庭での養蚕に追われ、家事に割く時間が極めて限られていました。その中で、小麦粉をこねて薄く延ばした生地を包丁で「切り込み」、そのまま野菜を煮立てた鉄鍋に「放り込む(打ち込む)」スタイルが定着します。これが「おっきりこみ(おきりこみ)」という名前の語源です。
一般的な上州手打ちうどんは生地に塩を加えてコシを出し、茹で上がった後に水で締めてぬめりを落とします。しかし、おっきりこみは麺に塩を一切加えず、打ち粉がついた生のまま鍋で直接煮込む製法を採ります。出汁に塩分が溶け出しすぎず、打ち粉が自然なとろみを生み出して冷めにくい一杯に仕上がるという、当時の生活の知恵が見事に結晶化しています。