犬のチョコレート中毒における重症度は、「犬の体重」と「摂取したカカオの量(テオブロミンの濃度)」によって数学的・薬理学的に決定づけられます。一般的に、犬におけるテオブロミンの毒性発現ラインは体重1kgあたり約20mgから軽度の症状(多飲、嘔吐、興奮)が現れ始め、40〜50mg/kgで重度の循環器障害、そして100〜200mg/kgが完全な致死量領域とされています。
市販のチョコレート製品に含まれるテオブロミン量は、製品の種類によって桁違いに異なります。製菓用ダークチョコや高カカオポリフェノールチョコレート(カカオ70%〜86%以上)は、一般的なミルクチョコレートの4倍から10倍以上のテオブロミンを含有しており、小型犬にとっては板チョコ数片がそのまま致死量へと直結します。
よくある誤解として「ホワイトチョコなら安全」という認識があります。確かにホワイトチョコはカカオマスを含まずカカオバターを主原料としているため、テオブロミン含有量はごくわずかです。しかし、大量の乳脂肪分と糖分が含まれているため、摂取後に急性膵炎を発症し、激しい腹痛や脱水から命を落とす危険性が潜んでいます。「どのチョコであっても犬の体内に入れてはならない」というのが獣医学的な絶対ルールです。