外科手術において、尿を排出・計測する処置は単なる「排泄の補助」ではない。日本麻酔科学会が定める周術期管理の指針においても、腎血流量と全身の循環動態をリアルタイムで把握するための極めてクリティカルな生体モニターと位置づけられている。
全身麻酔が投与されると、患者の意識消失とともに自律神経系のコントロールが緩み、膀胱の筋肉や括約筋が完全に弛緩する。これにより自力での排尿ができなくなるだけでなく、尿が膀胱内に異常貯留して膀胱破裂や腎機能障害を引き起こすリスクが生じる。さらに、輸液投与量と尿量のバランスを分単位で追跡することは、手術中の隠れた大量出血や血圧低下をいち早く察知する最大の指標となる。
なお、一般に「おしっこの管」と呼ばれるものは正確には膀胱内に留置する尿道留置カテーテルを指す。一方、腎臓から膀胱へ至る管に直接アプローチする尿管カテーテルは、より専門性の高い手技で用いられる。日常会話では混同されがちだが、手術中の安全性確保という本質は共通している。