欧米の主要国において、記者会見は公的機関自身が主催し、所定の身分確認を経たジャーナリストであればフリーランスや外国人記者であっても広く門戸が開かれるのが常識だ。米国のホワイトハウスや英首相官邸のプレスブリーフィングでは、鋭利な質問が矢継ぎ早に飛び交い、為政者とメディアの間に張り詰めた緊張感が漂う。これに対し、日本のシステムは官公庁の庁舎内に大手メディア専用の執務室が無償同然で提供され、光熱費や什器まで公費で賄われる例が珍しくない。物理的にも心理的にも権力の懐深くに入り込む構造が、初めから組み込まれている。
「世界報道自由度ランキング」で日本が主要先進国の中で低迷を続ける最大の要因として、国境なき記者団(RSF)など国際機関から名指しで批判されるのがまさにこの制度だ。発表資料の事前配布や「解禁時間(エンバーゴ)」の協定によって横並びの報道が作られ、クラブ外のジャーナリストは速報競争から強制的に排除される。2026年に向けた最新の改革議論でも、オープン化を求める国際社会の声と、既得権益を手放したくない国内大手メディアの思惑は激しく衝突したままだ。情報の蛇口を握る側と伝える側の馴れ合いが、結果として国民に対する情報統制の機能を果たしている現実は否定できない。