金字塔的コミック『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)において、破天荒な警官・両津勘吉はあらゆるサブカルチャーやマニアックな趣味に精通した男として描かれてきた。この名言が飛び出したのも、まさに両津の底知れぬオタク的情熱が裏目に出た瞬間である。
作中で両津は、自身が収集したミリタリーモデルやフィギュア、細部しか違わない鉄道模型などのコレクションを自慢気に見せつける。微細なパーツの違いや塗装のマイナーチェンジについて熱弁をふるう両津に対し、同僚の秋本・カトリーヌ・麗子が容赦なく言い放ったのが「全部同じじゃないですか」という一言だった。マニアにとっては天と地ほどの差であっても、興味のない者にとっては誤差に過ぎない。この普遍的な心理的断絶を見事に捉えた描写こそが、すべての始まりだった。