漫画家の所属先として「グレープカンパニー」の名が挙がることに、初見の人は少なからず驚きを覚えるかもしれない。サンドウィッチマンをはじめとする実力派芸人を多数擁するお笑い事務所に籍を置きながら、専業の作家として筆を執り続ける。この特異な立ち位置こそが、田中光という作家の血肉となっている。
舞台の上で培われた「客の視線をどこに集め、どの瞬間に裏切るか」というライブ感覚。それは漫画のコマ割りやフキダシの配置、キャラクターの視線の誘導といった作画技術にそのまま直結している。芸人としての身体感覚が、紙の上のインクに生命を吹き込んでいるのだ。
机に向かって黙々と原稿を仕上げる職人肌でありながら、笑いの現場特有の生々しい熱量を常に肌で感じていること。このハイブリッドな環境が、マンネリに陥りがちなシュールギャグ漫画というジャンルにおいて、彼を常にフレッシュなトップランナーたらしめている。