タブレット端末の画面をなぞるだけで、どんな絵でも描ける時代だ。しかし、それでは指先に「抵抗」が残らない。絵の具が乾くときの匂いや、冷たい粘土が手のひらの体温で柔らかくなっていく過程。それらは画面の中には存在しない。同館が今、改めて注目されている理由はここにある。
「子どもが何時間も集中して、泥だらけになって遊んでいる姿を久しぶりに見ました」。そう語るのは、名古屋市から訪れた母親(34)だ。デジタルな情報過多から解放され、ただ目の前の物質と対話する。その贅沢な時間が、現代の親子に強く刺さっている。