『若者のすべて』の撮影現場において、ふたりの間には常にピンと張り詰めた緊張感が漂っていた。役柄上の対立だけでなく、表現者としての矜持が真っ向から衝突していたのだ。当時、役者としてのリアルな生っぽさを極めようとしていた萩原聖人と、時代のカリスマとして圧倒的な華を放っていた木村拓哉。アプローチは対極でありながら、共に妥協を許さない強烈なプロ意識を持っていた。
メディアやファンの間で「決定的な不仲」と囁かれた噂は、決して単なるゴシップではなかった。しかしそれは憎しみではなく、お互いの圧倒的な才能に対する嫉妬と警戒心の裏返しだったという。カメラが回っていない場所でも口を利かない緊張感が、結果としてドラマ史に残る圧倒的なリアリティを生み出した。