主人公・はらちゃんを演じた長瀬智也の圧倒的な存在感は、今振り返っても唯一無二だ。純粋無垢ゆえの暴走、初めて味わう世界への驚き、そして越えられない壁に直面したときの切ない葛藤。表情一つ、立ち姿一つで感情を表現する圧倒的なスケール感は、観客の心を一瞬で掴み取った。
一方で、現実世界で影を潜めて生きるヒロイン・越前さんを演じた麻生久美子の佇まいも見事というほかない。世間に心を閉ざした女性が、突如現れた怪しい男によって少しずつ心を開いていく過程を繊細に演じ切った。さらに、二人の周りを固めるキャスト陣も豪華を極める。中でも丸山隆平が演じた田中くんの存在感は、作品に確かなリアリティと絶妙なコメディセンスを注入していた。