東北の豊かな自然の中で自給自足の生活を送る主人公を描いた『リトル・フォレスト』シリーズは、彼女のキャリアにおいて特別な輝きを放つ名作だ。料理を作り、食べ、土に触れる。台詞を削ぎ落とした静かな画面の中で、彼女の息遣いと身体表現そのものが物語を牽引した。
言葉に頼らずとも、内面の微細な揺らぎを伝えることのできる力量。この作品を通じて確立された独自のリアリズムは、その後のヒューマンドラマ作品群でも遺憾なく発揮されている。市井を生きる人々の孤独や温もりを丁寧にすくい上げるその演技は、観る者の心に静かで深い余韻を残す。