小網神社が鎮座するのは、日本橋のビジネス街の一角である。約千年の歴史を有し、文正元年(1466年)に悪疫が流行した際、稲穂を持った庵主の夢枕に立った神の告げに従って社を建てたところ、疫病が鎮静化したことが創建の契機とされる。
主祭神として祀られているのは、五穀豊穣と商売繁盛を司る倉稲魂命(お稲荷大神)だ。さらに、弁財天として親しまれる市杵島比売命(弁財天)と、福徳長寿の神である福禄寿を合祀している。江戸時代には徳川家光が社殿を整備したと伝えられ、現代においても「日本橋七福神めぐり」の重要な一角として篤い信仰を集めている。
社殿に施された「昇り龍」「降り龍」の見事な彫刻は、参拝者の祈りを天に届け、恵みを地に降ろす象徴として崇敬されてきた。歴史の荒波をくぐり抜けてきた神威が、日々の生活やビジネスに挑む現代人の心の拠り所となっている。