斎藤望怜さんはまだ23歳だった。塗装の仕事を選び、現場に立ち、懸命に働いていた。その人生が、一瞬の転落で終わった。残酷な現実だ。しかし、この悲劇を風化させてはならない。
日本の建設・塗装業界は、慢性的な人手不足に悩んでいる。若い世代や女性の参入は歓迎すべき流れだ。しかし、新しい担い手を迎えるためには、まず現場を安全な場所にする義務がある。法律の整備だけでなく、現場の一人ひとりが「次の事故は自分たちが防ぐ」という意識を持たなければ、同じ悲劇は繰り返される。
塗装屋という仕事は、建物に美しさと耐久性を与える、なくてはならない職業だ。その担い手が安心して働けない業界に、持続的な発展はない。斎藤さんの死が、業界全体の安全文化を根本から問い直すきっかけになることを、切に願う。