一世を風靡したペニーファージングですが、その黄金期は1870年代から1880年代半ばまでの約15年間という短い期間で幕を閉じました。巨大自転車を一瞬で過去の遺物へと追いやったのが、「安全型自転車(セーフティバイシクル)」の発明です。
1885年、イギリスの技術者ジョン・ケンプ・スターレーが開発した「ローバー安全型自転車」は、自転車の歴史を根底から覆しました。この新型自転車は、現在私たちが乗っている自転車とほぼ同じ構造を持っています。
- 前後輪を同じ大きさ(小径化)にして低重心化
- ペダルの動力を「ローラーチェーン」で後輪に伝達
- ギア比の設計により、小さな車輪でもペダル1回転で大きく前進可能
さらに1888年にジョン・ボイド・ダンロップが空気入りタイヤ(空気入りゴムタイヤ)を実用化したことで、乗り心地と走行スピードは劇的に向上しました。女性や高齢者、子供でも安全かつ快適に乗れるようになったセーフティバイシクルの登場により、危険極まりないハイウィーラーは瞬く間にその役目を終え、歴史の表舞台から姿を消すこととなったのです。