浅草の仲見世通りや伝法院通りからほど近い一角で、昼夜を問わず漂う香ばしい出汁の香り。「浅草もんじゃ ぜんや」の前に差し掛かると、常に20〜30人規模の行列が形成されている光景に出くわします。観光客向けの飲食店が立ち並ぶ浅草において、なぜこれほどまでに特定の店舗が熱狂的な支持を集め続けているのでしょうか。
最大の核心は、母体である加納コーポレーションが誇る水産仲卸の歴史にあります。築地魚河岸直営ならではの独自ルートにより、毎朝目利きされる鮮度抜群の魚介類が贅沢に使用されています。一般的なもんじゃ焼きがウスターソースの風味に依存しがちなのに対し、ぜんやのベースとなるのは鶏ガラと香味野菜、厳選された鰹節や昆布から丁寧にとった特製和風出汁です。
「ひと口食べた瞬間に、ソースではなく奥深い出汁のコクが口いっぱいに広がる」と評されるこのスープベースこそが、従来の駄菓子屋発祥のもんじゃ焼きを「本格日本料理の領域」へと昇華させた決定的な差別化要因といえます。