表面的な単語のインパクトだけで「軍国主義の歌」と断じるのは、作品の本質を見誤っています。作詞・作曲を手掛けた黒うさPの描く世界観を精読すると、この楽曲が極めて鋭利な「国家風刺と反戦のメッセージ」を宿していることが浮かび上がってきます。
特に象徴的なのが「ICBM(大陸間弾道ミサイル)」というフレーズです。明治維新から大正時代にかけての近代化期をモチーフにした世界観の中に、冷戦期・現代の最終兵器であるICBMを唐突に投入することで、時代錯誤なナショナリズムの狂気と、兵器に依存する文明の危うさを皮肉たっぷりに描いています。
また「此処は宴 鋼の檻 その断頭台で見下ろして」という一節は、狂騒に浮かれる大衆が自らを破滅へと導く檻の中に閉じ込められている様を告発しています。つまり『千本桜』は、無批判に熱狂へと流される大衆心理と、戦争へ突き進んだ過去の歴史に対する警告を鳴らしたプロテストソングとしての側面が色濃いのです。