2010年に公開されたデヴィッド・フィンチャー監督の名作ソーシャル・ネットワーク(映画)の中で描かれたように、ソーシャルメディアの根源的な推進力は、人間の承認欲求と比較意識、そして他者への嫉妬や好奇心にある。自らの道徳的優位性を誇示したいという心理がアルゴリズムと結びついたとき、ネット空間には「共通の敵」を仕立て上げて糾弾する集団狂気が立ち現れる。
プラットフォームの健全化を掲げる一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構をはじめとする業界団体が、誹謗中傷の抑止やモラル教育、ガイドラインの策定を急ピッチで進めている。だが、人間の情動を刺激して滞在時間を最大化させるプラットフォームビジネスの構造そのものが変わらない限り、自浄作用だけに期待するのは危険だ。ウェブサイト上に掲載されるコンテンツは常に、この過敏で攻撃的な大衆心理の射程内に晒されているという冷厳な前提に立たねばならない。